全従業員を巻き込んで、未来に向けて会社を変えていく

ライトケミカル工業株式会社のパーパス・行動指針の制作にあたり、このプロジェクトに関わっているライトケミカル側のプロジェクトメンバーや、主導する富村専務取締役に、今回の機会について、一連のプロセスを振り返ってもらうインタビュー形式の座談会を行いました。

全従業員が参加して会社のことを考える機会は今まであまりなかったというライトケミカル。今回、参加型のワークショップやアンケートといったプロセスを通じて、「共通認識の言葉に落とし込めたこと、新しいパーパス・行動指針の誕生によって、会社が未来に向いてスタートしていくことができた」と振り返る富村専務。

今回に至るまでの経緯と苦労、また、プロジェクトの後、会社での変化についてを振り返ります。

自己紹介

富村さん
ライトケミカル工業(株)専務取締役。今回のプロジェクトを率いた。

Fさん
製造部所属。最も大きい15tの反応釜を担当している。入社歴7年。

Nさん
生産技術部所属。量産に向けた調整などを担当。入社歴4年。

Oさん
業務部所属。原料の価格交渉などを行う。入社歴1年半。

Aさん
製造部所属。班長として率いている。入社歴11年。

従業員全員が関わって会社の空気をつくりたい

—今回のプロジェクトは、働いているみなさんの心の拠り所としてパーパスがあるとよいのではないかということで始まったかと思います。今一度、課題になっていたことや、プロジェクト開始のきっかけからお話しいただけますか?

富村さん:はい。プロジェクト開始前に社内で抱えていた課題は二つあって、一つは「自社製品がない、受託メーカーということで従業員が誇りを持って働きづらい状態になってしまっていること」。経営層や一部の従業員は自分達のやっていることが社会に貢献していることを実感できているが、全従業員には伝わり切っていなかった。そのことで従業員が働く上でモチベーションを保ちづらい状態ができてしまっていたんです。

もう一つの課題は、一つ目の課題とも関連しているんですが、「ビジネスモデルを進化させた事による、事業の急成長に伴って、社内の文化を変更する必要性が生じたこと」

この二つの課題を解決するために、パーパスや行動指針を策定しようと思いました。会社の空気・文化をつくっていくということも考えると、従業員全員が関われるような方法でやりたいと思っていて、そこでnaeさんをご紹介いただいたという経緯です。

—ありがとうございます。はじめてこのプロジェクトの話を聞いた時のことを思い返しながら聞いていました。プロジェクトメンバーのみなさんは今の富村さんのお話を聞いてどう感じますか?働く中で、やりがいや社内の文化について、思っていたことはあったんでしょうか。

Oさん:そうですね......。私はプロジェクトメンバーの中で社歴が最も短いのですが、実は入社するまでライト(ライトケミカル工業社内の呼称)が具体的に何をしている会社なのかよくわからない部分があったんです。しかもコロナが流行り始めてからの入社だったので、社内の交流も少なくって。普段関わらない部署のことはどのような雰囲気なのか分からないまま働いていましたね。

Nさん:コロナ以降に入社した人はそうですよね。その前は結構飲み会に行っていたりとか、年に2、3回はみんなでの親睦会とか部署ごとの忘年会とかやってましたけど。

—コロナで社内行事が無くなってしまったんですね。そうした行事での交流が、働く上でのモチベーションに繋がる部分もありますよね。

Aさん:そうですね。前と同じ形は難しいかもしれないけど、もっと交流の機会を増やして、社内の雰囲気をつくっていかないとなと思います。しかもこの状況になったここ数年で、従業員数が急激に増えているので。

—事業が急成長しているからこそ生じてしまった壁ですよね。最初にライトさんの話を聞いたときから、パーパスや行動指針の力でこれを解決できるかが一つの挑戦になるなと感じていました。それからビジネスモデルが原因で従業員が誇りを持って働きづらい状態になってしまっていたというお話もありましたね。

富村さん:ちょっと特殊なんですよね。受託生産専門で、機密性の高い化学製品をつくっているんです。なので、従業員が自分で何をつくっているのか知らないことも多くて。

Nさん:しかもルーチンでつくるもの・やることが決まりきっているものの製造担当になったりすると、お客さまとのやりとりもほとんどないんですよね。そうすると、誰に向けて作っているのか、やっていることの意義はなんなのかがわからないまま、目の前のことで精一杯になってしまう。

富村さん:その中でも効率よく手際よく作業をすることにやりがいを感じたりもできるけど、それだけじゃなく、ライトの作ったものがちゃんと社会に貢献していて、「ものづくりを支えているんだよ」ということは今後もっと伝えていかないといけないと思っています。

「ライトってこういう会社なんだ」全従業員アンケートでの気づき

—プロジェクトを始動させて、まず全従業員に向けてアンケートを実施しましたね。

Nさん:全従業員の9割以上が回答してくれて、よかったです。最初に全員分アンケートを回収するってなったときは「そこまでは集まらないだろうな」って思ったんです。けど、結果的にたくさんの人が回答してくれて、しかもみんな自分の意見をしっかり書いてくれて、とりあえず頑張れそうだなと安心しました。

Oさん:結構熱い人が多いんだなって。自分から見えている世界とギャップがあった(笑)。ライトってこういう会社なんだって思いました。

—長文で思いの丈を書いてくれている方がたくさんいらっしゃいましたよね。

Nさん:よくないところを書くだけじゃなくて「こうした方がいい」っていうところまで書いてくれてたよね。

Fさん:みんな会社を「よくしたい」と思ってるんやなって。本当に諦めていたら、回答しないし、文章ももっと短いはずじゃないですか。僕はライトはそういう熱い会社だと思っていたからそれはそんなに意外じゃなくて、だから最近入った人との間ですごくギャップがあるんやって実感しました。僕が入社した時のライトは一枚岩の会社っていう印象で、みんな優しくて仲も良くて。それが人数が増えていくにつれて崩れつつあるのが現状なんちゃうかな。正直今の会社の雰囲気は好きやなくて、これを機に会社をもっと好きになってくれる人が増えてくれたらいいなと思って取り組んできました。アンケートの回答を見て、まだまだこれからやなって。

富村さん:うん。回答を見た後、プロジェクトメンバーに「この会社、熱い人がまだまだいるから変えられますよ」って言ってもらったのは勇気づけられたな。

Aさん:今は今ですごくいい空気感になってるところもあるんですよね。僕がライトに入った時は上の人たちが固まってて気軽に喋れる空気じゃなかった感じもして。人が増えてからはみんなと喋れるようになったので、それはすごく楽しいんです。パーパスを作ったら、パーパスに向かってみんなで走っていけて、さらに良い感じになるんやないかなと思ってますね。そのために浸透させて、空気を作れるように、プロジェクトメンバーで盛り上げていかないと。

みんなで言葉をつくってみたら、近い認識で働けていたことが分かった

—アンケート結果を踏まえて、プロジェクトメンバーと選ばれた数十名でワークショップを行いましたね。こちらはどうでしたか。

Aさん:面白かったです。最初は「どうかな」と思ったけど、作り上げていったら「こういうことね」ってなりましたね

Nさん:いくつかのチームになってみんなで考えて最後にそれを全チームの前で発表するっていう進め方だったので、ちゃんと言葉にできるようにする必要があったじゃないですか。そうすることで、みんながそれぞれ自分の意見を持つことができて、他の人たちもちゃんと考えていたということも分かった。終わったあとで参加したみんなから「楽しかった」って言ってもらえたこともよかったです。

Aさん:うん。ワークショップは好評やったね。参加できなかったみんなにもやってもらいたかった。

—他のチームがつくった言葉や発表を聞いた感想はどうでしたか?違和感とかはなかったですか?

Nさん:なんとなく、みんな方向性が同じだった気がする。

Aさん:大きくは外れてなかったね。

富村さん:最初にnaeさんに従業員自身に作ってもらうって言われたときは正直不安に思っていたんですけど、予想を裏切る形でみんなからすごくいい言葉が出てきて経営する立場として恥じましたね

—キャッチーな言葉が出てくるチームもあれば説明が上手なチームもあって、とても印象的なワークショップでした。最後の発表ではズバッと鋭く切り込む方もいらっしゃって、本気で会社を変えようという意思も感じました。「昔は空き時間に会社の将来を熱く語ったりしてたけど、それが最近はない」という話も事前に伺っていたので、今回のワークショップでそういう場をつくれていたら嬉しいです。

パーパスが完成して向かうべき方向が見えてきた。ここからが勝負。

—ワークショップのあとは、ワークショップの案を元にnaeとプロジェクトメンバー間で文言の調整を繰り返し、パーパス・行動指針ができあがりました。完成したものを社内に発表されたと伺っていますが、反応はどうでしたか?

Nさん:社内で説明会をして、今やっと朝礼のスピーチのお題として取り入れ始めたところです。まだまだこれからという感じですね。

Fさん:うん。でもスピーチはすでにみんな気にしてくれてるみたいで、どういうふうに言ったらいいのか僕に聞きにきてくれてます。ある程度テーマとか定型パターンを用意してあげた方がいいのかもなとかも考えたり。プロジェクトメンバーが「頑張ってや」ってぽんって後押ししてあげるようにしたいですね。

—なるほど、浸透施策はこれからという感じなんですね。プロジェクトメンバーの皆さんはパーパス・行動指針ができて、気持ちの変化はありますか?

Nさん:「パーパス」というものに対してピントが合うようになりました。会社のみんなに経緯や目標を説明しないといけなかったので、いろいろ考えるようになって、他の会社の人に話を聞いてみたりもしました。「うちの会社もパーパスあるけど、紙をたまに見るくらい」とか「会議を月一で設けてるよ」とかっていう話も聞けたり。

Aさん:僕も「パーパス」って前まで全然知らなかったけど、このプロジェクトが始まってから、CMで流れてきたり街を歩いてても掲げている会社が結構多いことに気がついて、意識するようになったな。

Nさん:みんな結構パーパスを気にしているよね。あとは、新人教育の時に行動指針を持ち出すことで指導しやすくなりました。行動指針の一つに「褒めあう人で、あろう。」というのがあるので、「こういうところがいいね」ってはっきり言ってあげるようにしたり。前は気が向いたら褒める感じだったんですけど、ちゃんと言ったほうが成長しやすいんだろうなと思って意識的に口にするようになりましたね。

Aさん:僕はまだ何かを促すようなことはしてないかな。もともと持っていたものが行動指針になった感じやと思うから。これからがどう言うふうに会社全体に広がっていくか様子を見ている感じです。

Oさん:私は「変化をたのしむ人で、あろう。」を心がけるようになったかな。それから「ありがとうを紡ぐ人で、あろう。」も。意識的に感謝の言葉を口にするようにしてます。

Nさん:ええね。行動指針を実際の行動に結びつけるって頭を使うから、意識しないとできませんよね。掲示物とか社内報の一言コラムとかって読む人読まない人いると思うけど、あれがあるだけで意識って変わるんやなって思いましたね。

富村さん:僕も「行動指針がこうだからこうしようぜ」っていうのは相当意識しないといけないんだなって、部下と話してる時に思ったことがあるな。あとこれからのことでいうと、お客さんからの反応も楽しみですね。

—これからどういうふうに浸透させて、活用していく予定なんでしょうか?

富村さん:とりあえずは、朝の朝礼スピーチを繰り返していこうと思っています。それ以外は、うまいこと仕組みを作りたいですね。

Nさん:スピーチは、今のままでも言える人はええけど、なかなか言えない人もいるんですよね。

富村さん:このプロジェクトメンバーがもっと「話しようよ」って空気を作っていくのがいいかもしれんな。まだまだここから。

—なるほど、そうなんですね。浸透施策もご支援しているので、何か困ったことがあったらいつでもお声がけくださいね。

ここからがスタート。これから1年後にも、このプロジェクトをやってよかったと思えるように。

—まだまだいろんなエピソードについてお話したいところですが、最後にみなさんのこれからの意気込みを伺って、終わりにしたいと思います。お一人ずつお聞かせいただけますか。

富村さん:そうですね。まずはこのプロジェクトをやったことで、共通認識の言葉に落とし込めたことが何よりもよかったですありがたかった。

Aさん:そうですね。僕は正直、最初はなんでパーパスが必要なのか、なんのために作るのか分からなかったんです。だけどやっていくうちに「みんな目標がなかったのかな」って気がつきました。仕事の先に何があるのか見えてなかった。それがパーパスを作ったことで見えてきて、よかったと思います。

Oさん:うん。私はこのプロジェクトを通して、ライトのこれまで見えてなかった面が見えたり、誤解していたところがあったことに気がつきました。それがパーパスや行動指針という形でみんなの思いを言葉にしたことで目線が揃いやすくなったと思います。でもこれからもコミュニケーションがしっかりとれてないと齟齬が生まれてしまうと思うから、交流のきっかけを作れたらいいな。

Fさん:せやね。僕もパーパスは作って終わりじゃなくてここからがスタートやと思っているので、どうやって浸透させていこうかなって考えてますね。

Aさん:会社を盛り上げながら浸透させていけたらええよね。僕は今は言葉を覚えてもらうことを目標にしてて、会話の中で飛び交う感じにしたいです。

Nさん:私はみんなで考える時間を作りたいです。最近、別部署のラボ部門で、毎月末に「安全の日」っていうのを作って、全員で話して考える会を設けているようです。安全についてだったり、改めて自己紹介して趣味について話したりしてて。新しい人が増えてるからはじめたらしいんですけど、付き合いが長い人でも意外と知らないことがあるって、その部門の方が言っていました。そういうことをもっとみんなでやりたいと思っています。

富村さん:職場毎にやっているミーティングで、少しの時間であれば、時間を設けることはできると思う。実務じゃないところで考えたり勉強したり話したりすることは大事やな。
みんなが言ってくれたようにこれからが勝負なので、半年後、1年後に「全社員が、このプロジェクトをやってよかったな」と思ってもらえるよう、フォローしていきたいと思います。

—浸透させることが大事というのは本当にそうだと私たちも思っています。まだ動き始めたばかりとのことなので、これからどうなっていくか楽しみですね。ライトケミカル工業株式会社のみなさん、この度はお話しいただきありがとうございました。

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