女性が直面している課題

nae Inc.が女性のウェルビーイングに取り組む背景には、代表・篠原の個人的な体験と、デザインを通じて社会に働きかけたいという強い意志があります。
きっかけは2014年、PMSに悩む女性のための婦人体温計「monicia」のデザインリサーチに携わったことでした。当時はまだ“フェムテック”という言葉も一般的ではなく、多くの女性が見えにくい不調を日常的に抱えているという事実に、はじめて直面したプロジェクトでした。
その後、骨粗鬆症、美容家電、医療機器といった女性の身体やライフステージに関わるテーマに携わる中で、社会の中で埋もれてきた声と向き合い続けてきました。
2019年に第一子となる娘が誕生したことで、この問いはより個人的なものへと変化します。現在ふたりの娘を育てる父として、「この子たちが大人になる頃には、少しでも社会が前進していてほしい」という願いが、nae Inc.の活動の大きな原動力になっています。
また、篠原が高校生の頃に母が子宮頸がんを患った経験も、女性の健康に対する理解の重要性を痛感する出来事でした。当時はまだHPVワクチンが一般的ではありませんでしたが、現在では予防可能な疾患としての認知が進みつつあります。「もし知っていれば、守れたかもしれない」という実感が、「知ること」「知れること」の価値を強く意識させました。
しかし今なお、月経やPMS、ホルモンバランスの変化といったテーマに対する社会全体の理解は十分とは言えません。男女を問わず、身体と心のしくみに関する基本的な知識すら、共有されていない現状があります。
nae Inc.は、ウェルビーイングを「心に余裕がある状態」と定義しています。その余白を生むために、正しい情報、選択肢、共感に基づく社会設計が必要だと考えています。
そして私たちは、それらの価値を単なる理念にとどめるのではなく、ものづくりを通じて社会に実装することを使命としています。リサーチやブランド設計にとどまらず、具体的な製品・サービスとして世の中に届けることで、ウェルビーイングの在り方を生活の中に浸透させていきます。
医療、家電、宇宙、食品、素材など、領域を横断する実績を強みに、「まだ言語化されていないニーズ」をかたちにする。
それがnae Inc.のデザインであり、私たちが目指すウェルビーイングの実装です。
Every journey begins with a conversation. Let’s shape something meaningful — together.